桑実胚(そうじつはい)とは
桑実胚とは、
桑の実の胚(受精卵)と書きますが、
その名のように桑の実のように、
細胞がつぶつぶと無数に見られる、
受精卵の成長過程の様子です。
通常の成長スピードの場合は、
受精した日を0日目として、4日目に桑実胚に育ちます。
成長速度には、個体差があるため、
3日目で桑実胚になったり、
5日目に桑実胚になったりします。
↓桑の実の写真

桑実胚の写真を2つ載せます。
↓あまり良くない状態の桑実胚

↓良い状態の桑実胚

次に、この2つの桑実胚のどこがどう違い、
どう妊娠率に関わっていくのかについてお書きします。
桑実胚の段階で、卵子の質を見分けるポイント
論文を紹介しながら、解説していきます。
<Human Reproduction 2021 4月号より>
桑実胚の事のコンパクションとも呼ばれます。
桑実胚は、上記に書いたように何度も細胞分裂を繰り返して、
細胞が増えて桑の実のような見た目になります。
この論文では、
桑実胚を4つのグループに分けて妊娠率を報告しています。
1、細胞の一部が取り残された桑実胚(Exc-PCM)
桑実胚では、
通常は細胞は全て集まってひと塊になって形成されていますが、
細胞がひと塊にならずに、
塊に入れてもらえず、細胞が取り残されてしまう事があります。
これをExc-PCM(略語)と言います。
このように取り残された細胞がある桑実胚は、卵子の質が良くないです。
2、後から追い出されてしまう細胞がある桑実胚(Ext-PCM)
1よりももっと良くない状況もあり、
最初はたくさんの細胞の塊取り込まれて一緒に集まっているのに、
後から細胞が一部追い出されてしまうこともあります。
こういった桑実胚をExt-PCM(略語)と呼びます。
3、最初にも取り残された細胞があり、更に、後から追い出されてしまう細胞もある桑実胚(Exc/Etc-PCM)
1番良くない状態の桑実胚は、
最初にとり残されると、
後から追い出されてしまう細胞の、
どちらも起こってしまう状態です。
これをExc/Ext-PCMと呼びます。
この状態の桑実胚が妊娠率が最も良くないと報告されています。
4、最初から最後まで全ての細胞が一塊に集まっている桑実胚(FCM)
質が1番良いのは、
細胞が1つも外に出ず、
ずっと一塊に細胞が集まっている状態です。
これをFCMと言います。
4つに分類された桑実胚の妊娠率
妊娠率が最も良いのは、
FCMと言って細胞が終始一塊であった桑実胚です。
<FCM>
妊娠率 43%
出産率 30%
その次に質の良い卵子は、
最初に取り込まれていない細胞がある桑実胚のExc-PCMです。
<Exc-PCM>
妊娠率 34、8%
出産率 20、7%
3番目に、
後から追い出されてしまった細胞がある桑実胚のExt-PCMです。
<Ext-PCM>
妊娠率 30、6%
出産率 18、9%
最初に取り残された細胞があり、
更に後からも追い出された細胞がある桑実胚であるExc/Ext-PCMは、
この4つのグループ分けの中では最も妊娠率・出産率は悪いです。
<Exc/Ext-PCM>
妊娠率 20、7%
出産率 10、9%
胚盤胞到達率も、
上記の順に低くなっていき、
Exc/Ext-PCMは胚盤胞到達率も低く、CC評価となる胚盤胞が多い。
尚、桑実胚で胚移植したのではなく、
胚盤胞まで育ててから胚移植を行っています。
論文の翻訳(さらに詳しく読みたい方向け)
翻訳された論文の内容、データの画像を添付いたします。
※国際医療研究所より許可を頂いております。






コメント