「新鮮胚移植」のメリット・デメリットと、「凍結胚移植」との違い【体外受精】

胚移植とは?

胚移植とは、

受精卵を子宮の中に戻す事を言います。

つまり、体外受精・顕微授精の時に行う治療ですね。

タイミング法や人工授精では、

胚移植は行いません。

新鮮胚移植と凍結胚移植の2つがある

採卵した後に数日以内に子宮に戻す方法を、

「新鮮胚移植(しんせん はいいしょく」と言います。

採卵と胚移植を同じ生理周期で行う方法ですね。

一方、採卵した後に受精卵を凍結保存して、

別の生理周期で子宮に戻す方法を、

「凍結胚移植(とうけつ はいいしょく)」と言い

ます。

妊娠率が高いのは?

一般的に、

凍結胚移植の方が妊娠率は高く、

日本だけでなく、

妊娠率・出産率の高い欧米諸国でも凍結胚移植を用いる事が多いです。

新鮮胚移植のメリット・デメリット、注意点

メリット

・凍結胚移植と比べて費用が安く済む事が多い

新鮮胚移植の方が料金を安く設定している施設の方が圧倒的に多いです。

それは、凍結胚移植に比べて、

凍結保存・凍結胚移植に使う器具や器材、薬剤、

培養士の技術や手間などがかからないため、

その分、料金は安く済みます。

・短期間に採卵と移植の完了が出来る

採卵して、卵子と精子を受精させ、

受精卵を子宮に戻すまで、

わずか5日間です。

採卵から胚移植をトータルで生理1周期で済ませるので、

別の生理周期に改めて胚移植を行う凍結胚移植と比べて、

治療スピードは速いです。

デメリット

・妊娠率が低い

新鮮胚移植がなぜ妊娠率が下がりやすいかと言うと、

採卵のために排卵誘発剤というホルモン剤を使うので、

体のホルモンバランスの状態は、

自然の状態とは異なり、

妊娠しやすい状態からかけ離れてしまう事が多いです。

採血でホルモン値や子宮をエコーで見て、

妊娠しにくい状態と判断されれば、

受精卵は凍結保存して、

別の生理周期に子宮に戻す「凍結胚移植」に移行した方が、

妊娠率が高い体の状態で胚移植が可能になります。

せっかくの大事な受精卵ですので、

妊娠率の高い状態で子宮に戻してあげたいですよね。

・卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が起こりやすい+妊娠しても胎児を諦める可能性

卵巣過剰刺激症候群とは、

OHSSと呼ばれ、

不妊治療特有の副作用です。

自然には起こらないです。

症状としては、

お腹が張る、卵巣が腫れる、吐き気、嘔吐、頭痛、

さらに重症になると、

腹水がたまり、尿が出ず体重が増加、

腎不全、脳梗塞などの血栓症が起き、

最悪、死亡に至ったケースも国内外問わず起こっています。

このOHSSの治療として、

「黄体融解法」という治療がありますが、

この治療を行う場合には、

基本的に胎児を諦めなければなりません。

重症の場合には、

母体の命に関わるため、

どうしてもOHSSの治療をしなければならない事もあります。

OHSSにならない治療をするのが1番という事になります。

OHSSの予防として、

1つは採卵した卵子を全て凍結する「全卵凍結」となります。

つまり、凍結胚移植の方が安全という事ですね。

新鮮胚移植が見直されいている

昔、体外受精が世界で開始された頃には、

凍結するという技術はなく、

新鮮胚移植しか選択肢がありませんでした。

しかし、その後に、

受精卵を凍結するという技術が生まれ、

妊娠率は劇的に上がりました。

ですから、

ここ何年、何十年と、凍結胚移植は、

『新鮮胚移植よりも優れている治療』として位置づけられています。

ただ、近年になって、

新鮮胚移植も見直そうという動きが強くなってきました。

新鮮胚移植も、

様々な工夫をすれば、

今より妊娠率が上がるのではないか、

とされ、再び新鮮胚移植に注目が集まりつつあります。

新鮮胚移植で妊娠率を上げるポイントについては、

また別のページで詳しく書きたいと思います。

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